☆空調温度管理とデマンド管理☆

 空調機(エアコン)の使用がデマンドのピークを発生させる要因になっているということを「デマンド管理とは?」で若干ふれました。
 一般的に空調設備によるデマンドは、夏場と冬場の年2回ピークを迎えます。 どちらの山が高いかは、気候や建物の構造、空調機の使用態様によって異なります。 これは、冷房や暖房を効かせるために空調機が目一杯働いていることを意味します。
また、同様に年2回の谷を迎えます。これは、明らかに空調機を使用していないか、 使用していてもほんの僅かにしか働いていないということを意味します。

 デマンドは、照明や事務機器、生産設備等の比較的変動の少ない負荷によるものと空調機等のように季節等の要素で変動する負荷 によるものを加えたものになります。
デマンドのピークカットをするためには、定常的な負荷を減らすことと変動する負荷を減らすという両面から見る必要があります。

 定常的な負荷に関しては、ここのテーマとは関係ないので簡単に済ませますが、負荷そのものを高効率(いわゆる省エネタイプ) のものにするとか、こまめに負荷を切るとかすることがあげられます。
これで、デマンドのベースになっている部分を少なくします。

 次に、変動部分です。冷暖房が強く働けば働くほど使用電力量が増えます。つまり、デマンドも大きくなります。
特に複数台の空調機が同時に動作すれば、デマンドも跳ね上がります。 例えば、真夏の一番暑い午後の時間帯での空調機の動作をみてみます。
冷房の設定温度を25℃にしているとしましょう。にもかかわらず、室温は27℃位までしか下がらなくなったとします。 これは、冷房能力が足りないせいで、空調機が目一杯働いても冷やし切れない状態です。
この時、空調機はデマンド時限の間中フルに動作していますから、最大の電力を消費してしまいます。 この空調機の消費電力が10kWであったとしますと、デマンドも10kW増加させてしまいます。
 このように空調機の動作がデマンドの山の部分を作っていることが多いのです。

 この山の部分を削ることをピークカットといいます。


 上のグラフはある工場での実例です。お昼休みの終了時点と2時台の後半のピークをカット(青線)すると約20%程度 最大デマンドを落とすことができます。ピークが発生した原因は、生産設備の変動と昼休みに空調機を停止させていたものの 一斉投入と2時前後に外気温度が最高に達したということが重なったことが要因として考えられます。
このケースでは、一日の内で30分を2回だけデマンド管理をすれば最大デマンドを20%程度低減させることができます。

空調でピークカットするということは、本来空調機が冷やそうとしているのを止める(電力を消費している圧縮機を停止させる→冷風が出なくなる)ということですから室温は上昇してしまいます。
 逆に、温度設定を圧縮機が停止するまで高い温度にすれば、消費電力も減ります(当然室温も上がります)。
これが温度シフトの概念です。デマンドが大きくなった場合、一時的に室温を高くしてあげれば、 それに見合う分だけデマンドが低減するということです。
このようにして、デマンドが目標を越えそうな時に室温を高くし、デマンドに余裕が出れば元の室温に戻すようにすることで、 デマンド管理を行うことができます。



Top Pageへ戻る